懲戒解雇が争われた労働審判|会社側代理人として調停成立した事例
2026年03月29日 21:40
懲戒解雇が不当解雇として争われた労働審判で、会社側の代理人弁護士として調停を成立させた事例です。
デジタルフォレンジック調査の結果を軸に解雇の正当性を主張し、合意退職+解決金の支払いという会社にとって納得できる形で約半年で解決しました。
従業員の解雇トラブル・労働審判への対応は、東京・杉並区南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へ。会社側の労働問題に注力しています。初回相談無料。
この記事で分かること
依頼者:従業員を懲戒解雇した会社
相手方:長年勤続の元従業員
争点の対象:懲戒解雇の有効性、解雇後の未払賃金請求
最大の争点:複数の解雇事由(情報漏えい・社内規律違反等)を客観的に立証できるか
解決結果:合意退職+解決金の支払いで調停成立
解決期間:約半年
懲戒解雇が不当解雇として争われた場合、会社側はどのような対応が必要か
デジタルフォレンジック調査(電子データの専門的解析)が労働審判でどう役立つか
労働審判で会社側の弁護士が、会社にとって納得できる着地点をどう確保するか
ご相談の背景
依頼者の会社では、長年勤務してきた従業員による問題行動が繰り返されていました。取引先への信用を毀損する行為、社内の機密情報の外部への流出、上長のメールアカウントへの無断アクセスなど、企業秩序を揺るがす行為が複数確認されたため、会社はデジタルフォレンジック調査(パソコンの電子データを専門的手法で解析する調査)を行った上で、懲戒解雇に踏み切りました。
その後、元従業員が弁護士を立て、「解雇事由はすべて事実無根であり、解雇は無効」として、復職と解雇後の未払賃金の支払いを求める通知書を送付してきました。会社としては自社だけで対応することに限界を感じ、この段階で当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
経営者としては、長年勤務した従業員の解雇が容易ではなかったところに、さらに法的紛争に発展したことで、大きな負担を感じておられました。当事務所は、会社側代理人として、できるだけ早期に紛争を終結させることを目指して対応に着手しました。
従業員の解雇後に元従業員から通知書が届いた、労働審判を申し立てられた等、お困りの会社様は当事務所(GK総合法律事務所)へお早めにご相談ください。
弁護士の対応と解決のポイント
① 交渉段階:解雇の正当性を主張しつつ、金銭解決の提案も並行
元従業員側の弁護士からの通知書に対し、当事務所は会社の代理人として回答書を作成しました。
回答書では、会社が把握している各解雇事由について、デジタルフォレンジック調査の結果等の客観的な証拠に基づき、懲戒解雇は有効であるとの会社の立場を明確にしました。その上で、本件の早期かつ円満な解決を図るため、復職ではなく金銭による解決案もあわせて提示しました。
労働紛争では、会社側に相応の理由がある場合でも、裁判所が解雇を無効と判断する可能性は否定できません。また、仮に労働審判、訴訟と進んだ場合、多くの時間とコストがかかります。そのため、解雇の正当性を主張しつつも、経営資源を長期間消耗させないための出口戦略を初期段階から意識して対応しました。
しかし、双方の主張に大きな隔たりがあり、交渉段階では合意に至りませんでした。
その後、元従業員側が労働審判を申し立てました。
② 答弁書の作成:デジタルフォレンジック調査を軸とした緻密な立証
労働審判の申立てを受け、当事務所は詳細な答弁書を作成しました。
最大のポイントは、デジタルフォレンジック調査の結果を法的に整理し、裁判所に分かりやすく提示したことです。問題となった行為がいつ・どの端末で行われたのかを電子的な証拠で特定し、元従業員の「身に覚えがない」という反論が成り立たないことを客観的に示しました。
また、元従業員が会社との面談時に弁解を二転三転させていた経緯を時系列で整理し、その供述の変遷が信用性の低さを示していることも丁寧に論じました。
労働審判は原則3回以内の期日で終結するため、第1回期日までに提出する答弁書の完成度が勝負を分けます。想定される相手方の反論に対してあらかじめ再反論を用意し、裁判所が争点を効率よく把握できる構成を心がけました。
③ 労働審判での調停成立:裁判所の指摘を踏まえた現実的な判断
答弁書の提出により、裁判所は解雇事由となった事実関係について会社側の主張を相当程度認めてくれました。
一方で、裁判所からは、解雇事由の存在は認められるとしても、懲戒解雇という処分の相当性(重さのバランス)については議論の余地があるとの指摘もありました。
この点を踏まえ、裁判所から和解(調停)の勧奨がなされました。仮に調停が成立しなければ審判→異議→訴訟と手続きが長期化するリスクがあります。当事務所は、裁判所の心証と訴訟移行時のリスクを率直に依頼者にご説明した上で、会社にとって受け入れ可能な条件で調停に応じる判断をいただきました。
調停条項の作成にあたっては、単に金額面の合意だけでなく、元従業員による会社の機密情報への不正アクセスや漏えいを将来にわたって防止する条項、口外禁止条項(秘密保持条項)、誹謗中傷禁止条項、さらに私物の返還等に関する取り決めも盛り込み、調停成立後に紛争が蒸し返されることのないよう、細部まで配慮しました。
解決の結果
解決方法:労働審判における調停成立
解決内容:退職+解決金の支払い
付帯条件:機密情報保護条項、口外禁止条項、誹謗中傷禁止条項、清算条項等を含む包括的な解決
解決期間:ご依頼から約半年
担当弁護士からのコメント
本件は、会社が懲戒解雇を行った後に元従業員から法的に争われたケースでした。
ご依頼をいただいた時点で既に解雇は実行済みでしたので、弁護士としては、既にある証拠をどう整理し、裁判所にどう伝えるかが腕の見せどころでした。
解決のカギとなったのは、会社が解雇前にデジタルフォレンジック調査を実施し、客観的な証拠を確保していたことです。労働審判は短期間で結論が出る手続きであるため、答弁書の段階で説得力のある証拠を揃えられるかどうかが勝負を分けます。「解雇の判断をする前に、まず証拠を固める」という順序の重要性を改めて実感した事案でした。
また、本件では「紛争を確実に終わらせること」を一貫して意識しました。裁判所の指摘を踏まえつつ、調停条項の中で将来のリスクを可能な限り封じ込める設計を行いました。解決金の金額だけでなく、情報漏えい防止や口外禁止といった条項を丁寧に詰めることで、会社が安心して前に進める形での決着を実現できたと考えています。
従業員の問題行動への対応に悩まれている会社様、解雇を検討されている会社様、あるいは既に解雇を行い元従業員から争われている会社様は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 問題のある従業員を解雇したいのですが、後から訴えられないか心配です。どう準備すればよいですか?
A. 懲戒解雇は会社が行う処分の中で最も重いものであり、裁判所は厳格に有効性を審査します。
解雇が有効と認められるためには、就業規則上の解雇事由に該当する客観的な証拠を確保すること、本人への告知・弁明の機会を適切に与えること等、手続きの適正さを担保することが不可欠です。
「解雇を決断する前に弁護士に相談する」ことで、証拠収集の方針や手続きの進め方について事前にアドバイスを受けることができ、後のリスクを大幅に低減できます。
Q. 労働審判は労働者に有利と聞きますが、会社側でも対応できますか?
A. 一般に「労働審判は労働者寄り」と言われることがありますが、会社側が十分な準備をすれば、主張を正当に評価してもらうことは可能です。
労働審判は原則3回以内の期日で終結するため、第1回期日までに提出する答弁書の質が極めて重要です。
解雇事由を裏付ける客観的な証拠を整理し、法的な争点を明確にした答弁書を準備できれば、会社にとって納得のいく条件での解決を目指すことができます。
Q. 懲戒解雇が争われた場合、解決金の相場はどのくらいですか?
A. 解決金の金額はケースごとに大きく異なり、一概に「相場はいくら」とは言えません。一般的に考慮される要素としては、解雇事由の強さ(会社側の立証がどの程度できるか)、従業員の勤続年数や給与水準、訴訟に移行した場合のバックペイ(解雇から解決までの未払賃金)のリスク、退職金の有無などがあります。
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