相続放棄|遺言執行者対応と戸籍収集を弁護士が代行し3か月期限内に放棄手続を完了した事例
2026年05月15日 14:04
被相続人の遠縁の親族として相続権が及んだ依頼者が、遺言執行者である金融機関からの通知をきっかけに、3か月の熟慮期間内に相続放棄の手続を完了した事例です。
被相続人は遺言を残しており、相応の財産がございましたが、依頼者は被相続人との生前の交流が薄く、また親族関係上の事情から、相続関係から離脱することを希望されました。被相続人の戸籍収集(複数回の転籍を含む)と遺言執行者との連絡対応を弁護士が代行し、受任から約3か月で手続が完了しました。
相続放棄でお悩みの方に、弁護士がどのように対応したかをご紹介します。
相続放棄のご相談は、東京・杉並区南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へ。3か月の熟慮期間が気になる方も、まずはご相談ください。初回相談無料。
この記事で分かること
依頼者:被相続人の遠縁の親族
相手方:相続放棄に「相手方」はありません。連絡対応の対象は遺言執行者(金融機関)および家庭裁判所
争点の対象:被相続人の相続をめぐる権利義務の承継の有無
最大の争点:3か月の熟慮期間内に、被相続人の戸籍をすべて収集し、家庭裁判所での放棄手続を完了できるか
解決結果:家庭裁判所による相続放棄申述の受理
解決期間:受任から業務完了まで約3か月
この記事を読んで分かること:
遠縁の親族として思いがけず相続権が及んだ場合の対応の流れ
「相続の開始を知った時から3か月」の熟慮期間がいつから数えられるか
被相続人の戸籍収集や家庭裁判所への申述で弁護士に依頼するメリット
ご相談の背景
依頼者にとって、被相続人は生前に深い交流のない遠縁の親族でした。被相続人が亡くなり、しばらく経過した頃、遺言執行者を務める金融機関から、依頼者宛に相続関係についての通知が届きました。
通知の内容を確認したところ、依頼者にも被相続人の相続権が及ぶ可能性があることが分かりました。被相続人は相応の財産を残していましたが、依頼者は被相続人と生前の交流が薄く、また親族関係上の事情から、相続関係から離脱することが望ましいと判断されました。
しかし、相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」(民法915条1項)という厳格な期限があり、また被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せる必要があるなど、ご自身だけで手続を進めることに不安を感じておられました。
そこで、相続放棄の手続を弁護士に依頼することを決断され、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
相続放棄や相続のお手続でお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。
弁護士の対応と解決のポイント
① 受任通知の送付と熟慮期間の確認
ご依頼を受け、まず遺言執行者である金融機関に対して受任通知を発送しました。
これにより、ご自宅やご家族への直接の連絡を避け、当事務所が一切の連絡窓口となる体制を整えました。
ご家族にも経緯を詳しく共有されていない場合や、お仕事・育児・介護等でお時間が取れない場合でも、お手元の郵便物・電話対応のご負担を最小化することができます。
同時に、依頼者が相続関係についての通知を受け取った日(相続の開始を知った日)を確認しました。
相続放棄の熟慮期間(民法915条1項)は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算されるため、この日の特定が極めて重要です。
被相続人の死亡日とは異なる日が起算日となることがある点に注意が必要です。
② 被相続人の戸籍収集
相続放棄の申述には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等が必要となります。
本件の被相続人は、生前に多数回の転籍を経ており、出生地から最終本籍地まで、各自治体に順番に戸籍を請求していく必要がございました。
弁護士が職務上請求(弁護士が職務遂行のために戸籍等を取り寄せる制度)により各自治体から戸籍を取り寄せ、依頼者の手を煩わせることなく必要書類を揃えました。
戸籍収集に通常よりもお時間を要したため、戸籍の到着を待つ間にも並行して、家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書」の起案や、その他の必要書類(住民票除票、申述人の戸籍謄本、収入印紙、郵便切手等)の準備を進めました。
③ 家庭裁判所への相続放棄申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書を提出しました。
申述書には、相続の開始を知った日、放棄の理由、相続財産の概略等を正確に記載しました。
申述書提出後、家庭裁判所からの問合せについて、弁護士が依頼者と相談しながら対応しました。
④ 受理証明書の取得と遺言執行者への提出
家庭裁判所が相続放棄申述を受理すると、「相続放棄申述受理通知書」が申述人宛に届きます。
対外的に相続放棄の事実を証明するためには「相続放棄申述受理証明書」を別途取得する必要があります。
弁護士が受理証明書の交付申請を行い、必要通数を取得しました。
取得した受理証明書を遺言執行者である金融機関に提出することで、依頼者が相続人ではなくなったこと(被相続人の権利義務を承継しないこと)を正式に証明し、本件の業務を完了しました。
解決の結果
解決方法:相続放棄申述(家庭裁判所での手続)
解決内容:家庭裁判所により相続放棄申述が受理され、依頼者は相続人ではなくなりました
特記事項:被相続人の戸籍収集、家庭裁判所への申述、受理証明書の交付申請、遺言執行者への証明書提出まで、弁護士が全工程を代行
解決期間:受任から業務完了まで約3か月(熟慮期間(3か月)の満了前に手続完了)
熟慮期間の満了前に余裕をもって手続を完了したため、依頼者は被相続人の権利義務から完全に離脱することができました。
担当弁護士からのコメント
相続放棄の手続は、書類さえ揃えれば形式的にはご本人でも進めることが可能です。
しかし、本件のように被相続人の戸籍が複数の自治体にまたがっている場合や、遺言執行者など対外的な連絡対応が必要な場合は、3か月の熟慮期間内に必要な準備をすべて整えることが容易ではありません。
特にご注意いただきたいのは、相続放棄の熟慮期間は「相続の開始を知った時」から起算されるという点です。
被相続人と生前の交流が薄く、亡くなった事実を後から知るケースでは、「相続の開始を知った日」が死亡日とは異なる日になります。この日の特定を誤ると、熟慮期間が経過したものとして単純承認とみなされ、被相続人の負債まで承継してしまうリスクがあります。
また、相続放棄をすると、原則として撤回することができません(民法919条1項)。
被相続人の財産と負債の概要を可能な限り把握したうえで、放棄するか承認するかを慎重に判断する必要があります。
本件では、依頼者にこれらの法的効果について十分にご説明し、ご納得いただいた上で手続を進めました。
相続放棄では、被相続人との関係上、ご家族にもあまりお話しになっていない過去の親族関係について、ある日突然連絡を受けるケースもございます。
当事務所では、ご自宅やご家族への直接の連絡を避け、すべての連絡窓口を弁護士事務所が引き受けるなど、依頼者のプライバシーに配慮したご対応も可能です。
遠縁の親族からの相続で思いがけず相続権が及んだ方、被相続人との関係上、相続から離脱したい方は、3か月の期限を意識して、できるだけ早めにご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続放棄はどのような場合に検討すべきですか?
A. 被相続人に多額の負債があり、プラスの財産を上回る場合がよく知られていますが、それ以外にも、被相続人と生前の交流が薄く相続関係から離脱したい場合、他の相続人とのご関係上トラブルを避けたい場合、被相続人の財産が事業に紐付いており承継すると経営上のリスクがある場合など、様々な理由で相続放棄を選択することがございます。
財産があっても親族関係上のご事情で放棄を選択されるケースも、実務上少なくありません。
Q. 「相続の開始を知った時から3か月」は、いつから数えるのですか?
A. 民法915条1項の熟慮期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算されます。
一般的には被相続人の死亡を知った日ですが、被相続人と疎遠だった場合や、先順位の相続人が放棄したことを後から知った場合は、その事実を知った日が起算日となります。
起算日の特定に迷う場合は、弁護士にご相談いただくのが安全です。
Q. 相続放棄の弁護士費用はどのくらいですか?
A. 費用は事案の内容(戸籍収集の難易度、対外的な連絡対応の有無、熟慮期間の伸長申立てが必要かどうか等)によって異なります。
ケースごとに大きく異なりますので、一律の相場をお示しすることは難しいのが実情です。
当事務所では、初回相談(30分無料)にて手続の見通しと費用の概算をご説明しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)