解決事例(GK総合法律事務所)

自己破産|長年自営業を続けた高齢の個人事業主が事業継続困難となり免責許可決定を得た事例

2026年05月15日 17:29

長年にわたり一人で自営業(服飾関連の製造業)を続けてこられたご高齢の個人事業主の方が、新型コロナウイルスの影響による受注減と取引先との金銭面の見解相違が重なり、事業継続が困難となって自己破産(個人事業主の破産申立て)に至った事例をご紹介します。

当事務所では、当初は事業継続を前提とした売掛金回収の交渉を試みましたが、ご家族のご判断も踏まえて、破産申立てに方針を切り替えました。事業に使われていた機材・在庫・自動車等を破産管財人が換価し、約半年で免責許可決定を得ることができました。

こんな方に読んでいただきたい

以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。

  • 個人事業主・自営業者で、借入の返済が難しくなってきている

  • 事業を続けるべきか、廃業すべきかで迷っている

  • ご高齢のご家族の借金や事業整理について、家族としてどう関わればよいか悩んでいる

この記事で分かること

  • 依頼者:長年にわたり個人で自営業を続けてこられたご高齢の方

  • 相手方:金融機関を中心とした複数の債権者

  • 負債総額:約500万円

  • 最大の争点:個人事業主の事業破綻に伴う破産申立てと、残された事業資産(機材・在庫・自動車)の整理

  • 解決結果:破産手続開始決定を経て、破産管財人による換価・債権者集会を経て免責許可決定

  • 解決期間:申立てから免責確定まで約半年

依頼前の状態と解決後の状態

  • 依頼前の状態:受注減と借入返済の重なりで事業継続が困難。取引先との金銭面でも見解の相違が生じ、売掛金回収の見通しも立たない状況。ご家族も対応に苦慮されていました。

  • 解決後の状態:約500万円の負債が法律上消滅し、ご依頼者はご家族のもとで生活の立て直しを進められています。

この記事を読むと、以下のことが分かります。

  • 個人事業主(自営業者)の自己破産がどのような流れで進むのか

  • 機材や在庫・自動車など事業資産が残っているとき、破産手続でどう整理されるのか

  • ご高齢の方が破産手続を進めるうえで、ご家族と連携しながら配慮できる工夫

ご相談の背景

ご依頼者は、長年にわたり、お一人で服飾関連の製造に従事してこられた個人事業主の方です。約40年にわたって培ってこられた技術と取引先との信頼関係のもと、安定して仕事を続けてこられました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、取引先からの受注が大きく減少しました。事業を続けるため、ご依頼者は金融機関からの借入によって資金繰りを補ってこられましたが、その後も受注量は回復しませんでした。

加えて、ご依頼者はご高齢であり、従前のように仕事を進めることが難しい局面が増えてまいりました。長年取引のあった主要な取引先との間でも、納品いただいた製品にかかる工賃の支払いを巡って見解の相違が生じ、当事務所が当初、ご依頼者の代理人として工賃の請求を行いましたが、相手方からも代理人弁護士を通じた反論があり、売掛金の回収を見込むことが困難となりました。

ご家族(ご親族の方)は、ご依頼者の生活全体を見守ってこられた立場から、これ以上事業を続けることや借入の返済を継続することは現実的ではなく、生活全体を立て直す必要があるとご判断されました。当事務所からも、ご依頼者の今後の生活と再出発を最優先に考え、破産申立てへの方針転換をご提案し、ご家族にもご納得いただいたうえで、改めて破産事件として正式に当事務所が受任することとなりました。


個人事業主・自営業者の方の借金・廃業のお悩み、ご家族からのご相談は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。

弁護士の対応と解決のポイント

① ご家族との連携と、住所変更を含めた生活面への配慮

ご依頼者はご高齢で、お一人での生活が次第に難しくなっており、書類の管理や日々の連絡もご家族のお力添えで進めるかたちでした。

破産手続の進行中には、ご依頼者がご家族のお住まいに身を寄せられることになり、住所の変更が必要となりました。当事務所では、裁判所への住所変更届の提出、引越しに伴う各種手続をご家族と連携しながら進めました。裁判所での債権者集会への出席についても、ご依頼者のご体調や移動のご負担に配慮し、ご家族と日程・移動方法を相談しながら準備を進めました。

これにより、ご依頼者ご本人は煩雑な手続書類のやり取りや、債権者からの連絡対応に直接向き合う負担から解放され、ご家族と一緒に新しい生活環境に落ち着くことに集中していただくことができました。

② 事業継続から廃業・破産への方針転換

当事務所では、最初の段階では、まずは取引先との交渉によって売掛金を回収し、事業を立て直す可能性を探りました。しかし、相手方からも代理人弁護士を通じた反論が及び、売掛金の回収を見込むことが現実的に困難となりました。

このまま事業を続ければ、借入が積み重なるばかりで、ご依頼者の生活そのものが立ち行かなくなる懸念がありました。ご家族のご判断も踏まえ、事業の継続にこだわるよりも、破産手続を利用して経済的に再出発を図る方が、ご依頼者の今後の生活にとって有益であると判断し、破産申立てへと方針を切り替えました。

これにより、ご依頼者は終わりの見えない返済交渉と取引先トラブルから離れ、生活再建という前を向いた目標に向かって進める状態になりました。

③ 残された事業資産・売掛金についての管財人との協力

個人事業主の方の自己破産では、事業に使っていた設備、在庫、自動車、売掛金などの資産が残されていることが多く、これらを清算する手続(破産管財人による調査・換価の手続)が必要になります。

破産管財人とは、裁判所から選任され、破産者の財産を調査・換価して債権者への配当などを行う弁護士のことです。

本件のご依頼者の場合、事業に使われていた製造機材や原材料・在庫が多数残されており、また自動車も保有されていました。破産管財人にとっては、これらの資産を評価・換価し、工場を引き払うところまで進めることが必要で、相応の負担が伴う事案でした。

当事務所では、破産管財人による換価手続が円滑に進むよう、以下のような協力を行いました。

  • 事業機材や原材料・在庫の再販価格について、当事務所側でインターネット上の取引情報を調査してリスト化しました。実勢の取引相場を踏まえた参考資料として、換価の方針検討にお役立ていただきました。

  • 主要取引先との売掛金の交渉履歴・経緯について、それまでに当事務所で行ってきたやり取りの全てを破産管財人に引き継ぎました。相手方とのやり取り、相手方代理人からの反論内容、見解の相違の所在などを整理してお渡しすることで、破産管財人による調査の基礎資料としていただきました。

あわせて、ご依頼者の事業の経緯、コロナ禍以降の収入の推移、借入の経緯、現在の資産・負債の状況を時系列で詳細に整理し、裁判所に提出する報告書としてまとめました。ギャンブルや浪費といった免責不許可事由(免責が認められない原因となる事情)がないことについても、家計の状況や借入の使途を含めて丁寧に説明しました。

これらの準備により、破産管財人の調査・換価手続が円滑に進み、ご依頼者は申立てから約半年で免責許可決定を得ることができました。

解決の結果

  • 東京地方裁判所において破産手続開始決定

  • 事業機材・自動車等は破産管財人により換価され、債権者への配当原資に

  • 主要取引先に対する売掛金については、破産管財人の調査の結果、回収が困難と判断され、整理

  • 公租公課(国民健康保険料等)には一部配当、一般の債権者への配当は行われず

  • 債権者集会を経て、免責許可決定

  • 申立てから免責確定まで約半年

  • 約500万円の負債について、免責の効果により返済義務が法律上消滅

  • ご依頼者は、ご家族のもとで生活を立て直しておられます

担当弁護士からのコメント

長年お一人で事業を続けてこられた方が、その事業を畳むという決断は、決して容易なものではありません。本件のご依頼者も、ご自分の年齢や、長年続けてきた取引先との関係、ご家族への申し訳なさなど、さまざまなお気持ちを抱えながら、最後まで真摯にご相談に向き合ってくださいました。

個人事業主の方からのご相談では、「事業を続けるため」「家族に心配をかけないため」と無理を重ねて借入を続けてしまい、ご相談に来られたときには返済が著しく困難になっているケースが少なくありません。本件でも、ご家族がご依頼者のご様子に気づかれ、ご一緒にご相談にいらしたことが、その後の手続を進めるうえでとても大切な転機となりました。お一人で抱え込まれていた時間が長い分、ご家族が「気づいて、一歩動いてくださる」ことの意味は、本当に大きいものです。

破産手続は、決して「失敗の烙印」ではなく、過剰な債務から解放されてもう一度生活を組み立て直すための、法律で認められた制度です。とりわけ個人事業主の方の場合、事業継続のために重ねた借入が、結果として個人の生活まで圧迫しているケースが多くあります。早い段階で、ご本人またはご家族から弁護士にご相談いただければ、事業継続か廃業かの判断、適切な債務整理の手段の選択、そしてご家族や周囲への配慮の方法まで、一緒に考えていくことができます。

ご高齢の方の破産事件では、ご本人のお体調やご事情に応じて、ご家族のご協力をいただきながら手続を進めるケースも多くあります。本件のように事業資産が残されている事案でも、申立代理人として情報や資料を整理してお渡しし、破産管財人の手続に資する形でご協力することで、ご依頼者ご本人の負担を抑えながら手続を進めることが可能です。

ご家族のことが心配なご親族の方からのご相談も、お気軽にお寄せください。

よくある質問(FAQ)

Q. 個人事業主(自営業者)でも自己破産はできますか?

A. はい、可能です。 屋号で取引をされていた場合でも、法律上は個人としての破産申立てとなります。ただし、事業に使っていた資産(設備・在庫・自動車・売掛金など)が残っている場合は、破産管財人による調査・換価の手続が必要となる「管財事件」として進められることが一般的です。事業継続か廃業かの判断も含め、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。


Q. 高齢で体調にも不安がある家族の借金問題で、家族としてどのように関わればよいでしょうか?

A. ご家族のご協力を得ながら手続を進めることは、十分に可能です。 ご本人がご高齢である、お体調にご不安がある、ご事情から書類の管理が難しいといった場合、ご家族のお力添えで手続を進めるケースは多くあります。書類の準備、債権者からの連絡対応、住所変更など、ご本人のご負担を抑える工夫はさまざまございます。ご家族の方からのご相談も多くお寄せいただいておりますので、ご家族のご事情をうかがったうえで、無理のない進め方をご一緒にご検討いたします。


Q. 個人事業主の破産にかかる費用や期間はどのくらいですか?

A. 期間は半年から1年程度を要することが一般的です。 ただし、個人事業主の方の破産は、事業資産(機材・在庫・自動車等)の有無や債権者数などによって扱いが大きく異なるため、費用や期間も一概には言えません。事業資産があるケースでは管財事件として進められることが多く、裁判所に納める予納金や弁護士費用が必要となります。具体的な費用や期間については、ご相談の際にご事案の内容をうかがったうえで個別にご説明いたします。

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長年続けてきた事業をやめるべきか、借入の返済を続けていけるか、ご家族として何をすればよいか――お一人で悩まれている個人事業主・自営業者の方、ご家族のことが気になっておられるご親族の方、それぞれの立場でのご相談を多くお受けしてきました。

GK総合法律事務所は東京都杉並区南阿佐ケ谷にあり、個人事業主の方の自己破産から法人破産まで、数多くの破産事件・債務整理事件を解決に導いてきた実績がございます。杉並区・中野区・練馬区をはじめ、東京都内全域からご相談をお受けしています。

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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)