自己破産|派遣で働く40代女性が任意整理を経て約190万円の借金を整理し免責許可決定を得た事例
2026年05月18日 11:14
派遣のお仕事を中心に生活されていた40代女性が、お体調を崩されたことをきっかけに収入が不安定になり、生活費の補填や個人的な美容医療の費用のために複数のお借入れを重ねた結果、約190万円の借金を抱えるに至った事例です。
当初はご依頼者様の強いご希望により任意整理での解決を目指しましたが、お借入れから債務整理着手までの期間が短く、債権者側から長期分割案を受け入れてもらえなかったため、破産手続への方針変更を判断しました。
申立てから約3か月で免責許可決定を得て、約190万円の負債が法律上消滅した事例をご紹介します。
以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。
✓ 派遣・パートで働きながら複数のお借入れの返済が回らなくなってきた
✓ 「とりあえず任意整理」を検討しているが、債権者が応じてくれるか不安
✓ お借入れから比較的短期間で返済が困難になり、債務整理を検討中
この記事で分かること
依頼者:40代女性(派遣・パートのお仕事を中心に生活)
相手方:複数の貸金業者・カードローン会社、自治体の特例貸付
争点の対象:約190万円のお借入れ
最大の争点:任意整理の成立可否、および免責不許可事由(浪費)がある中での裁量免責の可否
解決結果:破産手続開始決定後、裁量免責により免責許可決定
解決期間:受任から免責許可決定まで約1年7か月(うち申立てから免責許可決定まで約3か月)
before / after
依頼前の状態:派遣のお仕事と複数のお借入れの返済が両立せず、生活費の補填のために追加のお借入れを重ねていた状態。任意整理での解決を希望されていたものの、債権者の対応が読めず、ご自身でも先行きが見えない不安を抱えておられました。
解決後の状態:約190万円の負債が法律上消滅し、派遣のお仕事を続けながら生活を立て直しておられます。
本記事では、以下の3点が分かります。
任意整理を進めようとしたものの債権者の対応が厳しく、途中で破産手続に方針変更した場合の流れ
免責不許可事由(浪費)がある中で裁量免責が認められるためのポイント
任意整理から破産手続への方針変更を弁護士に依頼する際の段取り
ご相談の背景
ご依頼者様は、派遣やパートのお仕事を中心に生活されていた40代の女性です。ある時期からお体調を崩されたことをきっかけに継続的に働くことが難しくなり、生活費に加え、個人的な美容医療の費用も賄うため、複数の貸金業者から短期間で続けてお借入れをされました。
お借入れ後しばらくして、お体調の問題から派遣のお仕事を継続することが一段と困難となり、収入が大幅に減少しました。生活費を補うためにさらにお借入れを重ねたものの、状況は改善せず、毎月の返済が滞るようになりました。
ご依頼者様は当初、自己破産には強い抵抗があり、「できれば任意整理(裁判所を通さずに、債権者と交渉して返済条件を見直す方法)で進めたい」とのご希望をお持ちでした。
そこで、当事務所では、ご依頼者様のご希望に従い、まず任意整理を前提に債権者対応に着手することとしました。
複数のお借入れの返済にお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。
弁護士の対応と解決のポイント
① 任意整理での受任と債権者への弁済計画提案
ご依頼者様のご意向を踏まえ、まずは任意整理の方針で受任し、債権者各社に受任通知を送付しました。受任通知を発送すると、債権者からのご依頼者様への直接の取立てが停止し、ご依頼者様は督促の不安から一旦解放されます。
これにより、ご依頼者様は債権者からの督促・取立てから解放され、毎月の返済に追われる状態から一度離れたうえで、生活の立て直しに向けた準備を落ち着いて進めていただくことができるようになりました。
その後、債権者各社から取引履歴の開示を受け、利息制限法に基づく引き直し計算を行ったうえで、ご依頼者様が毎月捻出できる金額を踏まえた弁済計画提案書を各社に送付しました。月額の弁済原資を3社で按分し、それぞれの債権額に応じて分割回数を設定した提案です。
② 債権者の回答を踏まえた方針変更(任意整理から破産手続へ)
弁済計画提案書を送付してから数日のうちに、債権者各社から相次いで「長期分割は受けられない」との回答がありました。
理由としては、ご依頼者様の場合、お借入れから受任までの期間が短く、各社への返済実績がほとんどない状態であったことが挙げられます。債権者の立場からすると、十分な返済実績がない状態で長期分割に応じることへの慎重姿勢は珍しいことではありません。
担当弁護士は、ご依頼者様にこの状況を率直にご説明し、「任意整理での合意成立が現実的でない以上、破産手続に方針を変更するのが経済的に合理的である」とのご助言を行いました。
ご依頼者様にとっては大きな方針転換となりましたが、ご自身でも返済継続の難しさを実感されており、破産手続への方針変更を決定されました。
なお、任意整理の段階で進めた債権者対応や債権調査結果、家計の状況の把握といった作業は、その後の破産申立て準備でもそのまま活用することができ、書類の準備や事実関係の整理を一から始め直す必要はありませんでした。「まずは任意整理を試したうえで、難しければ破産に切り替える」という流れは、ご依頼者様にとっても無駄のない選択肢となりました。
この方針変更により、ご依頼者様は「払えない返済を無理に続ける」状態から脱し、最終的な解決(免責)に向けた道筋に切り替えることができました。
③ 破産申立ての準備と裁量免責の主張
破産手続への方針変更後、当事務所では予納金(破産管財人に支払う費用)の積立てを開始しつつ、申立書・陳述書・資産目録・家計の状況などの書類整備を進めました。並行して、申立てまでの間に新たに判明したお借入れ(自治体の特例貸付)についても、追加で受任通知を発送し、債権者一覧に組み入れました。
申立てにあたり最大の論点となったのは、個人的な美容医療の費用が「浪費」(破産法252条1項4号の免責不許可事由)に該当する点です。免責不許可事由がある場合、原則として免責は受けられませんが、裁判所の裁量によって免責が認められる制度(裁量免責:免責不許可事由があっても、破産者の経済的更生のために相当と認められれば免責を許可する仕組み)があります。
当事務所では、申立書において「ご依頼者様が破産に至った生活態度を反省されていること」「美容医療から完全に手を引き、生活の立て直しに向けて誠実に取り組まれていること」「破産手続にも誠実に協力する意向であること」を具体的に主張し、裁量免責を求める姿勢を明確にしました。
申立て後は、破産管財人との面談や管財人とのやり取りを弁護士において行いました。
これにより、ご依頼者様は破産手続の細かな対応をお一人で抱え込むことなく、生活の立て直しというご自身にとって本来大切な目標に向き合っていただくことができました。
解決の結果
手続の種類:自己破産(管財事件)
解決内容:破産手続開始決定後、裁量免責により免責許可決定を取得
整理した負債:合計約190万円(複数の貸金業者・自治体の特例貸付)
手続期間:申立てから免責許可決定まで約3か月
受任からのトータル期間:約1年7か月(任意整理での受任→方針変更→破産申立て→免責許可決定)
免責許可決定の確定により、約190万円の負債は法律上消滅しました。
ご依頼者様は、現在も派遣のお仕事を続けながら、新たな借金に頼らない生活を立て直しておられます。
担当弁護士からのコメント
「とりあえず任意整理で何とかしたい」というお気持ちは、債務整理をご検討される多くの方が最初に抱かれる、ごく自然なお気持ちです。ご自身でも「破産は最後の手段」と考えておられる方が多く、できれば避けたいと思われるのは当然のことだと思います。
一方で、債権者側にも事情があり、お借入れから期間が短く返済実績の乏しい案件では、長期分割を受け入れていただけないことが少なくありません。今回のご依頼者様も、当初は任意整理での解決を強くご希望でしたが、債権者の回答を受けて、方針変更というご決断をされました。途中で進む道を変えることには大きな心理的負担が伴いますが、結果として、免責許可決定を得て、生活の立て直しに進むことができました。
債務整理は、最初に選んだ方針が必ずしも最終的な解決方法になるとは限りません。受任後の状況に応じて、任意整理から破産(または個人再生)に切り替えることは、実務上めずらしいことではありません。大切なのは、債権者の反応や収支の状況を踏まえて、現実的に成立する解決方法に柔軟に舵を切ることです。
なお、最初に任意整理から進めた場合でも、その過程で行った債権者対応や債権調査、家計の状況の整理といった作業は、その後に破産手続へ方針を変更した場合に、申立て準備のためにそのまま活用できることが多くあります。任意整理から始めたからといって、それまでの過程が無駄になるわけではありません。「まずは任意整理を試してみたい」というお気持ちで弁護士にご依頼いただくことには、十分に意味があります。
また、本件は破産法上の免責不許可事由(浪費)がある案件でしたが、ご依頼者様が生活態度を真摯に見直され、破産手続にも誠実に対応された結果、裁量免責が認められました。免責不許可事由があるからといって、自己破産を諦める必要はありません。
複数のお借入れの返済が回らなくなってきたとお感じの方は、できるだけお早めに弁護士にご相談ください。早い段階でご相談いただければ、任意整理・個人再生・自己破産のうち、ご状況に最も合った方法を一緒に検討することができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 任意整理を始めた後でも、途中で自己破産に方針変更することはできますか?
A. はい、可能です。任意整理での受任後、債権者から長期分割を拒否された場合や、ご依頼者様の収入状況が変わって返済継続が難しくなった場合などには、方針を破産手続(または個人再生手続)に変更することがあります。この場合、改めて破産申立てに必要な書類の準備や予納金の積立てを進める必要がありますが、それまでに任意整理の中で集めた債権調査結果や家計の状況などはそのまま活用できる場合が多く、最初からやり直す必要はありません。
Q. 浪費が原因で借金が膨らんだ場合でも、自己破産で免責は認められますか?
A. はい、認められる可能性は十分にあります。破産法上、浪費(買物・賭博・投資など)による著しい財産の減少や過大な債務の負担は「免責不許可事由」とされていますが、裁判所には「裁量免責」を許可する権限があります(破産法252条2項)。生活態度の反省や手続への誠実な対応など、経済的な立て直しが期待できる事情があれば、裁量免責が認められるケースは少なくありません。本件もそのような案件のひとつでした。
Q. 自己破産にはどのくらいの期間と費用がかかりますか?
A. ケースごとに大きく異なるため一概には言えませんが、申立てから免責許可決定まで、管財事件で約3〜6か月、同時廃止事件で約2〜3か月が一つの目安です(書類の準備期間は別途必要です)。費用は、裁判所に納める予納金(管財事件か同時廃止かにより異なります)と弁護士費用がかかります。費用の支払いが難しい場合のご相談にも対応しております。詳しくは初回相談(30分無料)でお気軽にお問い合わせください。
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複数のお借入れの返済が回らなくなってきた方、任意整理を考えているが債権者の対応が不安な方は、お一人で悩まず、まずは当事務所にご相談ください。早期にご相談いただければ、任意整理・個人再生・自己破産の中から、ご状況に最も合った解決方法を一緒に検討することができます。
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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)