遺言書作成|子どものいない夫婦が公正証書遺言で全財産を配偶者に相続させた事例
2026年03月29日 21:33
子どものいない夫婦が「全財産を妻に相続させたい」という希望を実現するため、公正証書遺言を作成した事例です。
遺言書がなければ、配偶者だけでなく被相続人のご兄弟にも相続権が発生します。本件では不動産や多数の金融機関の預貯金を含む財産を正確に特定し、公証役場との調整を経て約2か月で公正証書遺言を完成させました。
遺言書作成のご相談は、東京・杉並区南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へ。初回相談無料です。
この記事で分かること
依頼者:80代男性
相手方:なし(遺言書作成のため)
争点の対象:全財産を配偶者に確実に相続させるための遺言書作成
最大の争点:多数の不動産・金融資産を正確に特定し、法的に有効な公正証書遺言を作成すること
解決結果:公証役場にて公正証書遺言を作成・完了
解決期間:約2か月(ご相談から完成まで)
この記事を読むと、以下のことが分かります。
子どものいないご夫婦が遺言書を作成しない場合に生じるリスク
公正証書遺言の作成を弁護士に依頼するメリットと具体的な流れ
不動産や複数の金融機関にまたがる財産がある場合の遺言書作成のポイント
ご相談の背景
依頼者は80代の男性で、長年連れ添った奥様と二人暮らしをされていました。お子様はおらず、依頼者のご兄弟がご存命でした。
依頼者は、自身に万が一のことがあった場合に全財産を奥様に相続させたいとお考えでした。依頼者ご自身で自筆の遺言書を作成されたこともありましたが、法的に確実な形で意思を残したいとのご希望から、公正証書遺言の作成を決断されました。
子どものいないご夫婦の場合、遺言書がなければ、配偶者のほかに被相続人の兄弟姉妹にも法定相続分(民法で定められた相続の割合)が発生します。兄弟姉妹には遺留分(法律上保障された最低限の取り分)がないため、遺言書さえあれば全財産を配偶者に相続させることが可能です。しかし、遺言書がなければ、兄弟姉妹全員の同意を得て遺産分割協議を行う必要があり、ご高齢の相続人が多い場合には手続きが非常に煩雑になります。
このような事情から、確実に奥様へ財産を引き継ぐため、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
子どものいないご夫婦の相続対策でお悩みの方は当事務所(GK総合法律事務所)へお早めにご相談ください。
弁護士の対応と解決のポイント
① 財産の洗い出しと必要書類の収集
ご依頼を受けてまず行ったのは、依頼者が保有する財産の全体像を正確に把握することです。
依頼者の財産には、マンション(区分所有建物とその敷地権)のほか、複数の金融機関にまたがる預貯金がありました。弁護士が依頼者と面談し、不動産の所在や各金融機関の口座情報を確認した上で、不動産登記情報の取得、固定資産税納税通知書・課税明細書の確認、戸籍謄本の取り寄せなど、公正証書遺言の作成に必要な書類を網羅的に収集しました。
公正証書遺言では、遺言の対象となる財産を正確に特定する必要があります。特に不動産は登記簿の記載どおりに記載しなければならず、預貯金についても金融機関名・支店名・口座番号で特定することが望ましいとされています。
弁護士が受任することで、こうした細かな特定作業を確実に行うことができます。
② 公証役場との調整と遺言案文の作成
収集した資料一式を公証役場に送付し、公証人との間で遺言書の案文作成を進めました。
本件では「遺言者の有する一切の財産を妻に相続させる」というシンプルな内容でしたが、公証人と案文の細部を調整しながら、最終的な文言を確定させました。口座名義・口座番号で各預金口座を特定するとともに、「一切の財産」という包括的な文言(記載した財産以外の財産も含めてすべてを対象とする表現)も併用することで、将来の口座変更等にも対応できるよう工夫しました。
また、遺言執行者(遺言の内容を実際に実行する権限を持つ人)として奥様を指定し、不動産の登記手続きや預貯金の名義変更・解約・払戻し、貸金庫の開扉など、相続手続きに必要な一切の権限を明記しました。
③ 公証役場での遺言書作成
案文が確定した後、公証役場にて遺言書の作成を行いました。
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述を筆記して作成するため、自筆証書遺言と比べて無効になるリスクが格段に低く、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんのおそれもありません。
解決の結果
解決方法:公証役場にて公正証書遺言を作成
遺言の内容:依頼者の全財産(不動産・預貯金等)を配偶者に相続させる旨の遺言
遺言執行者:配偶者を指定(不動産登記手続き、金融資産の名義変更・解約・払戻し、貸金庫の開扉等の権限を付与)
解決期間:約2か月(初回ご相談からの期間)
担当弁護士からのコメント
本件では、依頼者の「全財産を妻に相続させたい」というご意思を法的に確実な形で実現することが最大の目的でした。
子どものいないご夫婦の場合、遺言書がないと配偶者以外の親族にも相続権が発生し、相続手続きが複雑になるリスクがあります。特にご兄弟がご高齢であったり、連絡先が分からなかったりする場合には、遺産分割協議そのものが困難になることもあります。
本件のポイントは、多数の金融機関にまたがる預貯金や不動産を正確に特定した上で、公証人と綿密に案文を調整したことです。また、遺言執行者の権限を具体的に明記することで、将来の相続手続きをスムーズに進められるよう配慮しました。
「遺言書を作りたいけれど、何から始めればいいか分からない」という方は少なくありません。弁護士が財産の整理から公証役場との調整まで一貫してサポートすることで、ご本人の負担を最小限に抑えながら、法的に有効な遺言書を作成することができます。同様のお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 公正証書遺言と自筆証書遺言はどう違うのですか?
A. 自筆証書遺言は遺言者が全文を自筆で書く方式で、費用はかかりませんが、書式の不備で無効になるリスクがあります。公正証書遺言は公証人が作成に関与するため無効になるリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。ただし、公証人手数料がかかるほか、証人2名の立会いが必要です。ご自身の財産状況やご事情に応じて、どちらが適切かを弁護士に相談されることをお勧めします。
Q. 子どもがいない場合、遺言書を作らないとどうなりますか?
A. 遺言書がない場合、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります(直系尊属が存命であれば直系尊属が優先します)。兄弟姉妹が既に亡くなっている場合にはその子(甥・姪)が代襲相続するため、相続人の数が増えて遺産分割協議が難航するケースもあります。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書を作成すれば全財産を配偶者に相続させることが可能です。
Q. 公正証書遺言の作成を弁護士に依頼すると費用はどのくらいかかりますか?
A. 弁護士費用は事務所や案件の複雑さによって異なりますが、一般的には着手金として10万〜30万円程度が目安です。これに加えて、公証人に支払う手数料が別途かかります。公証人手数料は遺言の対象となる財産の価額に応じて法定されており、ケースによって異なります。費用の詳細は個別のご相談時にお見積もりいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談はこちらへ
遺言書の作成をお考えの方、特に子どものいないご夫婦で配偶者への相続を確実にしたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。当事務所では公正証書遺言の作成から相続手続きまで、相続関連事件を解決に導いてきた実績がございます。
お一人で悩まず、まずは当事務所の初回相談をご利用ください。
弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)