自己破産|ギャンブルで借金を抱えた40代フリーランスが著作権と業務用機材を残して裁量免責を得た事例
2026年07月12日 14:15
『パチンコで作った借金、自己破産は無理ですよね…』——そう思い込んで、自己破産のご相談をためらわれる方は少なくありません。
しかし実務上は、ギャンブルが原因の借金であっても、自己破産で免責(借金の支払義務がなくなる扱い)が認められるケースは珍しくありません。破産法252条2項の裁量免責(免責不許可事由があっても、破産者の経済的更生のために相当と認められれば免責を許可する制度)が機能するためです。
本事例は、芸術分野のフリーランスとして活動されるご依頼者様が、コロナ後遺症で就労困難となる中、ギャンブル(パチンコ)への支出歴を抱えながら自己破産に至ったケースです。著作権・業務用機材を手元に残しつつ、裁量免責を獲得して経済的再出発を実現した経緯をご紹介します。
こんな方に読んでいただきたい
以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。
パチンコ・競馬・スロット等のギャンブルで借金が膨らんでしまった
「ギャンブルが原因の借金は自己破産しても免責されない」と思い込んでいる
フリーランス・自営業で、業務用機材や著作権を保有している
この記事で分かること
ご依頼者様:フリーランス(40代男性)
相手方:複数の貸金業者・信販会社・個人債権者
最大の争点:ギャンブルによる免責不許可事由がある中で、免責許可を得られるか
解決結果:破産手続開始決定+免責許可決定(裁量免責)
解決期間:受任から免責許可まで約1年10か月
依頼前の状態と解決後の状態
借金の状況:消費者金融・クレジットカードからの借入と、パチンコへの支出で借入額が膨らみ、自転車操業に陥っていた → 自己破産(管財事件)で全債務について免責許可決定。返済義務から解放
就労・収入:本業の制限とコロナ後遺症で就労困難。家族や知人の援助で生活を維持 → 経済的再出発の基盤が整い、回復に専念できる状況
業務用資産:著作権・業務用機材を保有していたが、破産で失う不安を抱えていた → 相当額を破産財団に組み入れることで、著作権・業務用機材を手元に残せた
免責の見通し:ギャンブルが原因のため「免責されないのでは」という不安 → 裁量免責が認められ、経済的更生の道が開かれた
ご相談の背景
ご依頼者様は芸術分野のフリーランスとして長年活動していました。フリーランスの不安定な収入を補うため、消費者金融やクレジットカードからの借入を開始。同時にパチンコへの支出も増え、借入額が膨らんでいきました。
別の仕事との掛け持ちで返済を続けていましたが、その仕事を辞めた後は自転車操業に陥りました。新型コロナウイルスの流行により本業が制限され、コロナ後遺症で就労困難な状況に。家族や知人の援助で生活を維持していましたが、債権者からの督促が激化し、当事務所にご相談に来られました。
ギャンブル・パチンコが原因の借金でお悩みの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷(東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷駅」徒歩約2分/JR中央線「阿佐ヶ谷駅」徒歩約7分)のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。オンライン相談にも対応しております。
弁護士の対応と解決のポイント
① 受任通知の送付と債務調査
全債権者に受任通知を送付し、督促を停止させました。各債権者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法に基づく引き直し計算を実施。一部債権者との取引で過払金が発生し、回収手続を進めました。回収した過払金は破産申立費用に充当されました。
これにより、ご依頼者様は債権者からの督促が止まり、生活を立て直しながら破産申立に向けて落ち着いて準備を進められる環境になりました。
② 任意整理ではなく自己破産を選択した理由
ご依頼者様の不安定な収入、コロナ後遺症による就労困難、返済原資の見込めない状況から、自己破産を選択しました。
ギャンブルへの支出は破産法上の「免責不許可事由」に該当しますが、「裁量免責」制度により免責が認められる可能性があります。ご依頼者様にこのリスクと見通しを率直にご説明し、方針について合意しました。
「免責不許可事由」とは、ギャンブル・浪費・財産隠匿等、原則として免責が認められない原因となる事情のことです(破産法252条1項)。ただし、破産法252条2項の「裁量免責」制度により、免責不許可事由があっても、破産者の経済的更生のために相当と認められれば、裁判所の裁量で免責が許可される場合があります。
ご依頼者様は「ギャンブル歴があっても免責が得られる可能性がある」という見通しを得て、再出発に向けた意思を固められました。
③ 破産申立の準備と特殊な財産の処理
ご依頼者様が保有していた著作権や業務用機材は、通常の破産事件にはない特殊な財産でした。破産管財人と協議し、機材については買取業者の見積りを取得して客観的評価額を算出。最終的に、ご依頼者様が相当額を破産財団に組み入れることで、著作権と機材を手元に残すことができました。
破産管財人とは、裁判所から選任され、破産者の財産を調査・換価して債権者への配当などを行う弁護士のことです。
フリーランスにとって、ご自身の著作物や業務用機材は経済的再生に不可欠な資産です。これらを失わずに済んだことで、ご依頼者様は再出発後の仕事の基盤を保持できました。
④ 免責不許可事由への対応と裁量免責の獲得
破産管財人に対して、ご依頼者様がギャンブルに至った経緯、現在はギャンブルを完全にやめていること、手続に誠実に協力していること、経済的再生への意欲を丁寧にご報告しました。
ご依頼者様ご自身も、ギャンブルを一切行わない旨の誓約書を作成・提出され、更生への強い意思を示されました。これらの対応が評価され、裁判所は裁量免責を認め、免責許可決定が出されました。
解決の結果
解決方法:自己破産(管財事件)
解決内容:破産手続開始決定+免責許可決定。ギャンブルによる免責不許可事由があったが、裁量免責が認められた
特記事項:著作権・業務用機材は相当額を破産財団に組み入れることでご依頼者様の手元に残すことができた。一部債権者との取引で過払金を回収し、申立費用に充当
解決期間:受任から免責許可まで約1年10か月
受任から申立までに時間を要したのは、管財事件に必要な予納金を分割で積み立てていたためです。破産手続開始後も、管財人と一部債権者との間で交渉が必要となり、債権者集会が複数回にわたって続行されました。手続自体は一貫して円滑に進んでおり、全ての処理完了段階で免責許可決定が出されました。
担当弁護士からのコメント
本件の最大のポイントは、「ギャンブルという免責不許可事由がある中で、いかに裁量免責を獲得するか」でした。
多くの方が「ギャンブルが原因の借金は破産しても免責されない」と思い込んで相談をためらわれます。しかし実務上は、免責不許可事由があっても認められるケースは珍しくありません。大切なのは、過去の行為を正直に申告し、現在は生活態度を改善していること、そして手続に誠実に向き合っていることを示すことです。
フリーランスは著作権や業務用機材など特殊な財産を保有していることがあります。本件では、管財人との交渉により、これらを手元に残すことができました。「破産すると全てを失う」というイメージをお持ちの方も多いですが、適切に手続を進めれば、再出発に必要な財産を守れるケースもあります。
借金問題でお悩みの方は、ギャンブルが原因であっても、まずは弁護士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ギャンブルが原因の借金でも自己破産できますか?
A. 自己破産の申立自体はギャンブルが原因であっても可能です。 ただし、ギャンブルによる浪費は破産法上の「免責不許可事由」に該当するため、当然には免責が認められません。しかし、裁判所が諸般の事情を考慮して免責を認める「裁量免責」制度があり、実務上は認められるケースも多くあります。弁護士と相談の上、見通しを立てることが重要です。
Q. フリーランス・自営業者の破産は会社員の場合と何が違いますか?
A. フリーランスや自営業者の場合、管財事件になることが一般的です。 自営業者は事業に関連する財産や取引関係の調査が必要になるためです。管財事件では手続にやや時間がかかりますが、最終的な免責許可の効果は同じです。
Q. 自己破産の費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は事案の内容(同時廃止か管財事件か)によって異なります。 管財事件の場合、裁判所に納める管財予納金が必要になるため、同時廃止より費用は高くなります。当事務所では、過払金の回収や分割払いなど、費用負担を軽減する方法もご案内しております。初回相談で費用の見通しをご説明いたします。
ご相談はこちらへ
GK総合法律事務所は東京都杉並区南阿佐ケ谷(東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷駅」徒歩約2分)にあり、自己破産・任意整理・個人再生をはじめとする債務整理事件を数多く手がけてまいりました。
ギャンブルが原因の借金についても、裁量免責の獲得実績がございます。
杉並区・中野区・練馬区をはじめ、東京都内全域からご相談をお受けしており、オンライン相談(Zoom等)にも対応しております。
お一人で悩まず、まずは当事務所の初回相談(30分無料)をご利用ください。
弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)