解決事例・コラム(GK総合法律事務所)

家族が7年以上行方不明――誰に・どの順番で相談すべきか

2026年08月07日 10:01

家族が行方不明になったとき、「どこに相談すればいいのか」は意外と知られていません。警察・探偵・弁護士——それぞれ役割が違い、行方不明になってからの年数や、いま何に困っているかによって、頼るべき先が変わります。この記事では、「安否を探す」段階と「法律関係を整理する」段階に分けて、相談先の選び方を弁護士が解説します。


以下に1つでも当てはまる方は、本記事が参考になるかもしれません。


  • ✓ 家族が行方不明になって長い年月が経ち、この先どうすればよいか分からない

  • ✓ 警察に行方不明者届を出したきり(または出さないまま)になっている

  • ✓ 親が高齢になり、行方不明の家族がいるままでは相続の備えが進められない


相談先は「目的」で決まる——2段階で考える


段階1:安否を探したい


  • 警察:行方不明者届の提出先です。まだ出していなければ、行方不明になった当時の住所地・行方不明になった場所・届出をするご家族の住所地などを管轄する警察署に届け出ることができます。緊急でない相談は警察相談専用電話(#9110)も窓口になります

  • 探偵・調査会社:民間の調査で所在の手がかりを探す選択肢です。費用と成果の見通しは事案によって大きく異なります


段階2:法律関係を整理したい


探し続けても手がかりがなく、年月が経ってしまった——そうなると問題は「安否」だけでなく、残された法律関係に移ってきます。戸籍の上ではご本人は生き続けているため、相続の手続は進まず、年金や預金口座も宙に浮いたままになります。


この段階の相談先が弁護士です。行方不明の状況と年数に応じて、次のような法的手続を検討します。


  • 生死不明が7年以上:失踪宣告(法律上死亡したものとみなす家庭裁判所の手続)

  • まだ7年経っていない/生存を前提に考えたい:不在者財産管理人(生きていることを前提に財産を管理する人を選ぶ手続)

  • 災害や事故などの「危難」に遭った場合:危難が去ってから1年で失踪宣告を申し立てられる特則(危難失踪)もあります


ご家族の行方不明でお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。


「7年」が大きな節目になる


失踪宣告は、原則として生死不明の状態が7年間続いたときに申し立てられます。この7年の起算点は警察に届け出た日ではなく、最後に生存が確認されたときです。ですから、「届出をしていないから7年のカウントが始まっていない」ということはありません。


すでに7年を超えているご家庭では、失踪宣告によって、相続・戸籍・年金・預金といった宙に浮いた法律関係に一度に区切りをつけることができます。


放置するとどうなるか


行方不明の状態を法律的に放置しても、罰則があるわけではありません。ただ、次のような問題が静かに進行します。


  • ご両親の高齢化:相続の備え(遺言書の作成など)が、行方不明の方の扱いを決められないために進まない

  • 相続が実際に発生したとき:行方不明の相続人がいると遺産分割協議ができず、そこから手続を始めると解決までさらに時間がかかる

  • 年金・口座:年金の振込が続いていれば、後で精算すべき額が積み上がっていくことがあります


「いつかやらなければ」と思いながら数年、数十年が経ってしまうのがこの問題の特徴です。ご家族で話せるタイミングが来たときが、動きどきです。


弁護士に相談するときに用意しておくとよいもの


  • 行方不明になった時期と経緯が分かるメモ(最後に会った日・連絡があった日など、ご記憶の範囲で構いません)

  • 残されている手がかり(手紙・郵便物・当時の調査資料など)

  • ご本人の戸籍・住民票関係の書類(お手元になければ、取得から弁護士がお手伝いできます)

  • 通帳など、ご本人の財産に関する資料


警察への届出をしていなくても、失踪宣告の申立ては可能です。資料が少ない場合こそ、ご家族の記憶の整理から一緒に組み立てていきます。


よくある質問


Q. 警察に行方不明者届を出していません。今からでも出すべきですか?


A. 安否確認の観点では、届出には意味があります(ご本人が発見・保護された場合に連絡を受けられる等)。一方で、行方不明者届は失踪宣告の要件ではないため、法律関係の整理は届出がなくても進められます。両方を並行して進めることも可能です。


Q. まだ7年経っていない場合は、何もできませんか?


A. いいえ。生存を前提とした不在者財産管理人の選任によって、ご本人の財産の管理や、裁判所の許可を得たうえでの遺産分割協議への参加が可能です。また、災害・事故などの危難に遭われた場合は、7年を待たずに失踪宣告を申し立てられる特則もあります。状況に応じた選択肢をご提案します。


Q. 相談するとき、家族の中で意見がまとまっていなくても大丈夫ですか?


A. 大丈夫です。「死亡したものとみなす」手続には、ご家族の中でもお気持ちの差があるのが自然です。手続の効果と流れをご説明したうえで、ご家族で話し合っていただくための材料をご提供します。その場でご依頼をお決めいただく必要はありません。


弁護士に依頼した場合の実際の流れは、失踪宣告|20年以上行方不明のご家族について高齢の父が申立て、約1年で審判が確定した事例をご覧ください。


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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)