解決事例・コラム(GK総合法律事務所)

失踪宣告|20年以上行方不明のご家族について高齢の父が申立て、約1年で審判が確定した事例

2026年08月07日 11:44

ご家族が20年以上前に家出をされ、生死が分からないまま時間だけが過ぎていた——本件は、ご高齢のお父様を申立人として失踪宣告を申し立て、約1年で審判の確定に至った事例です。警察への行方不明者届が出されていない状態からのスタートでしたが、ご家族の記憶の整理と資料の掘り起こしで乗り越えました。ご家族が長年行方不明でお悩みの方に、弁護士がどのように対応したかをご紹介します。


以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。


  • ✓ 家族が7年以上行方不明のまま、どうすればよいか分からない

  • ✓ 親が高齢になってきたが、行方不明の家族がいるままでは相続の備えが進められない

  • ✓ 警察に行方不明者届を出していないので、手続ができるか不安


この記事で分かること


  • 依頼者:行方不明となった方のお父様(70代)とご家族

  • 相手方:なし(家庭裁判所に対する申立て手続)

  • 争点の対象:20年以上生死不明のご家族についての失踪宣告

  • 最大の争点:警察への届出などの客観的な資料がない中で、生死不明の状態をどう裏付けるか

  • 解決結果:失踪宣告の審判が確定(法律上死亡したものとみなされ、戸籍の届出手続へ)

  • 解決期間:申立ての準備から審判確定まで約1年


  • 依頼前の状態:ご家族が20年以上生死不明のまま。ご両親は高齢になり、相続の備えが進められない状態でした

  • 解決後の状態:法律上死亡したものとみなす審判が確定。戸籍の手続を経て、相続への備えや資産の整理を進められる状態になりました


この記事では、次のことが分かります。


  • 警察に行方不明者届を出していなくても、失踪宣告を申し立てられること

  • 申立てから審判確定までの実際の流れと期間

  • 失踪宣告と不在者財産管理人の使い分け


ご相談の背景


ご依頼者様(お父様)の息子さんのお一人は、20年以上前、置手紙を残して家を出たまま連絡が取れなくなりました。ご家族はそれぞれに心当たりを探されましたが、手がかりは途絶え、警察への行方不明者届は出されないまま、時間だけが過ぎていきました。


ご両親が高齢になるにつれ、「このままでは相続のことを何も決められない」という不安が現実の問題になっていきます。ご家族の間には「もう亡くなっているのではないか」という思いもありましたが、生死が分からない以上、戸籍の上ではご本人は生き続けており、相続の備えは宙に浮いたままでした。


ご家族で話し合われた結果、法律上の区切りをつける決断をされ、この段階で当事務所にご相談・ご依頼いただきました。


ご家族の行方不明でお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。


弁護士の対応と解決のポイント


① 「誰が申し立てるか」の設計と、資料の掘り起こし


失踪宣告(生死が7年間分からない方を、法律上死亡したものとみなす家庭裁判所の手続)は、誰でも申し立てられるわけではなく、法律上の利害関係人(手続の結果について法律上の利害を持つ方)であることが必要です。本件では、ご兄弟を申立人とした場合には申立てが認められないおそれがあったため、お父様を申立人とする形を取りました(目的:入口で申立てが認められないリスクを避ける。これによりご依頼者様は、手続をやり直す不安なく進められるようになりました)。


また、警察への行方不明者届が出されていなかったため、生死不明の状態を裏付ける資料の準備が課題でした。ご家族の記憶を時系列で整理して陳述書(事情を説明する書面)にまとめたほか、準備の過程でご自宅から20年以上前の置手紙や当時の郵便物が見つかり、これらを裁判所に提出しました。「届出がないから無理かもしれない」というご不安が、「揃えられるものはすべて揃えた」という手応えに変わりました。


② 家庭裁判所の調査への伴走


申立て後、家庭裁判所は警察などへの照会や、ご家族への調査を行います。本件でも、ご家族が家庭裁判所調査官との面接や書面での照会に対応されました。当事務所は、面接で確認される事項をあらかじめ整理してお伝えしたうえで、調査官との面接にも同席し、書面照会への回答作成をお手伝いしました。これによりご家族は、「裁判所から何を聞かれるのか分からない」という緊張を抱えずに調査に臨むことができました。


③ 「何も起きない期間」の見通し共有と、審判後の期限対応


失踪宣告では、裁判所の公告(官報などで、ご本人や心当たりのある方に届出を呼びかける手続)の期間が法律で定められており、申立てから審判まで、数か月間「何も起きない」時間が流れます。当事務所は節目ごとに進捗をご報告し、待ち時間の見通しをお伝えしました。


審判の確定後には、市区町村役場への失踪届の提出(確定から10日以内)という最後の期限があります。当事務所は役場に期限の取り扱いを確認したうえで、確定証明書などの必要書類を直ちに取り寄せてお送りし、ご家族が期限内に届出できるよう段取りを整えました。最後の手続で慌てることなく、約1年に及んだ手続を締めくくることができました。


解決の結果


  • 失踪宣告の審判が確定し、ご本人は法律上死亡したものとみなされました(戸籍への届出手続まで、期限内に進められるよう整えました)

  • 申立ての準備から審判確定まで約1年

  • 相続への備えや資産の整理を進められる状態になりました


ご家族は現在、ご両親の相続への備えを前へ進められるようになっています。


担当弁護士からのコメント


ご家族が行方不明のまま長い年月が経つと、「もう亡くなっているのではないか」と思いながらも、区切りをつけること自体に迷いを感じられる方が少なくありません。本件のご家族も、20年以上、区切りをつけられないまま時間が過ぎていました。


警察への行方不明者届が出ていなくても、失踪宣告の申立ては可能です。大切なのは、ご家族の記憶を丁寧に整理し、残っている資料を掘り起こして、生死不明の状態を裁判所に分かる形で示すことです。本件でも、申立ての準備を進める中で20年以上前の資料が見つかり、裏付けの柱になりました。


また、失踪宣告は申立てをして終わりではなく、裁判所の調査への対応、公告期間の見通し、審判確定後の失踪届まで、一連の流れを見通して進める必要があります。ご家族が長年行方不明でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


よくある質問


Q. 警察に行方不明者届を出していなくても、失踪宣告の申立てはできますか?


A. はい、可能です。行方不明者届は失踪宣告の要件ではありません。ただし、生死が7年間分からない状態を裁判所に示す資料の準備が重要になります。ご家族の記憶の整理や、手紙・記録類の掘り起こしなど、届出がない場合の資料準備こそ、弁護士がお手伝いできる部分です。


Q. 失踪宣告と不在者財産管理人は、どちらを選べばよいですか?


A. 目的によって異なります。行方不明の方を法律上死亡したものとみなし、相続や戸籍の整理まで進める必要があるなら失踪宣告(原則として生死不明が7年間続いていることが必要です)、生存を前提に、その方の財産の管理や遺産分割協議への参加だけが目的なら不在者財産管理人が候補になります。効果が大きく異なるため、ご家族の状況に応じた選択が重要です。使い分けの詳しい説明は、失踪宣告と不在者財産管理人はどちらを選ぶ?違いと使い分けを弁護士が解説をご覧ください。


Q. 失踪宣告の申立てを弁護士に依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?


A. 当事務所では、着手金15万円・報酬金15万円(いずれも税別)を目安としています。このほか、収入印紙・官報公告料・郵便切手・戸籍取得費などの実費がおおむね1〜2万円程度かかります。所在調査の要否や資料の状況により金額は変わりますので、ご相談の際にお見積りをご提示します。※費用は個別の事案により異なり、この金額を保証するものではありません。費用の内訳と目安は、失踪宣告を弁護士に依頼した場合の費用――内訳と目安を解説で詳しく解説しています。


はじめの一歩でお迷いの方は家族が7年以上行方不明――誰に・どの順番で相談すべきかを、審判の確定後の年金や預金口座の手続については行方不明の家族の年金・預金口座はどうなる?失踪宣告後の手続まで弁護士が解説をご覧ください。


行方不明のご家族がいるまま長年放置された相続を解決した事例は遺産分割|40年以上放置された相続を11名の相続人との交渉・調停を経て解決した事例をご覧ください。


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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)