解決事例・コラム(GK総合法律事務所)

行方不明の家族の年金・預金口座はどうなる?失踪宣告後の手続まで弁護士が解説

2026年08月07日 09:59

ご家族が長年行方不明のままだと、そのご本人の年金や預金口座は、家族の誰も適法に動かせない「宙に浮いた」状態になります。年金の振込が続いている通帳を前に、「このままにしていていいのだろうか」と不安を抱えるご家族は少なくありません。この記事では、行方不明のご家族の年金・預金口座がどう扱われるのか、失踪宣告によって何が変わるのかを、実務経験に基づいて解説します。


以下に1つでも当てはまる方は、本記事が参考になるかもしれません。


  • ✓ 行方不明の家族の通帳に、年金の振込が続いている

  • ✓ 家族の口座のお金を動かしたいが、勝手に引き出してよいのか分からない

  • ✓ 失踪宣告をすると年金や預金がどうなるのか知りたい


行方不明のご家族の年金・預金は「宙に浮く」


ご家族の生死が分からなくても、法律上は生きている扱いが続きます。ご本人が年金の受給者であれば、口座への振込が続いていることがあります(現況の確認書類が提出されないことなどから、途中で支給が止まっている場合もあります)。


一方で、口座の中のお金はあくまでご本人の財産です。ご家族であっても、代わりに引き出す法律上の権限はありません。こうして、誰も動かせないお金が通帳の中に積み上がっていきます。


家族でも、通帳から引き出してはいけない


権限のないまま払い戻しをしてしまうと、後日、他の相続人との間で返還を巡る紛争の火種になったり、金融機関との関係で問題になったりするおそれがあります。実際、親族間のお金の動きが後から争いに発展するケースは少なくありません。


実務では、通帳やキャッシュカードは現状のまま保管し、「誰が保管しているか」をご家族の間ではっきりさせておくことをおすすめしています。


行方不明のご家族の年金・口座のことでお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。


失踪宣告で何が変わるのか——「みなし死亡日」がすべての基準


失踪宣告(生死が7年間分からない方を、法律上死亡したものとみなす家庭裁判所の手続)の審判が確定すると、「死亡したものとみなされる日」(みなし死亡日)が定まります。普通失踪の場合、生死不明となってから7年の期間が満了した時点です。


このみなし死亡日を基準に、宙に浮いていたお金の扱いが決まります。


  • 年金:受給権が消滅します(年金はご本人だけの権利で、相続の対象にはなりません)

  • 預金:相続財産として、相続人による相続手続が可能になります

  • 戸籍:失踪届の提出(審判確定から10日以内)により、戸籍に反映されます


年金は「みなし死亡日の前後」で仕分けられる


年金の扱いは、振込がみなし死亡日の前か後かで分かれます。


  • みなし死亡日より前の振込:法律上有効に受け取ったものとして、返還の必要はありません。口座に残っていれば、相続財産として扱われます

  • みなし死亡日より後の振込:受給権が消滅した後の過払いとなり、年金機構への返還が必要です


みなし死亡日がかなり過去の時点になる事案では、その後に振り込まれていた分がすべて返還の対象となり、金額が大きくなっていることがあります。放置するほどこの問題は大きくなるため、早めに区切りをつけることには実益があります。


手続は、審判確定 → 失踪届 → 戸籍への記載 → 年金の受給権者死亡届 → 過払い分の精算、という順序で進みます。なお、振込が途中で止まっている場合もあるため、まずは通帳を記帳して実際の振込履歴を確認することが出発点になります。


預金口座は「戸籍」が整ってから相続手続へ


審判の確定後、失踪届によって戸籍にみなし死亡が記載されると、金融機関での相続手続(払戻し・名義変更)ができるようになります。


必要書類は通常の相続と同じく、戸籍一式・相続人全員の印鑑証明書・遺産分割協議書などです。ただし、失踪宣告の事案は金融機関の窓口でも件数が多くないため、審判書や確定証明書を併せて示しながら進めるとスムーズです。


相続税の申告期限にも注意


失踪宣告により相続が開始した場合、相続税の申告期限は「審判が確定したことを知った日」の翌日から10か月とされています。遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、法定相続分で期限内に申告するのが原則です。税額の計算や特例の適用は個別性が高いため、必要に応じて税理士とも連携して進めます。


よくある質問


Q. 行方不明の家族の口座から、生活費などを引き出してもよいですか?


A. おすすめできません。ご家族であっても、ご本人の預金を引き出す法律上の権限はなく、後日、他の相続人との紛争や返還問題の火種になります。まずは現状のまま保管し、失踪宣告などの法的な手続によって「動かせる状態」を作るのが安全です。


Q. 年金の振込を止めるには、どうすればよいですか?


A. 失踪宣告の審判が確定し、失踪届により戸籍に反映された後、年金の受給権者死亡届を提出することで手続が進みます。みなし死亡日より後に振り込まれていた分は、返還の精算を行います。手続の順序を誤ると二度手間になるため、全体の流れを見通して進めることが大切です。


Q. 失踪宣告の手続を弁護士に依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?


A. 当事務所では、失踪宣告の申立てについて着手金15万円・報酬金15万円(いずれも税別)を目安としています(収入印紙・官報公告料などの実費は別途)。年金・預金の整理までご依頼の範囲に含めるかによっても変わりますので、ご相談の際にお見積りをご提示します。※費用は個別の事案により異なり、この金額を保証するものではありません。


実際に失踪宣告の申立てから審判確定まで弁護士が対応した事例は、失踪宣告|20年以上行方不明のご家族について高齢の父が申立て、約1年で審判が確定した事例をご覧ください。


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行方不明のご家族の通帳を、動かせないまま長年保管しておられる方へ。GK総合法律事務所は東京都杉並区南阿佐ケ谷にあり、失踪宣告の申立てから審判確定後の年金・預金の整理まで、一連の手続を扱っております。杉並区・中野区・練馬区をはじめ、東京都内全域からご相談をお受けしています。


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弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)