解決事例・コラム(GK総合法律事務所)

自己破産|高級時計の購入と転売で借金が膨らんだ50代会社員が、管財事件で約1,350万円の免責許可を得た事例

2026年10月15日 13:15

毎月の赤字を借入れと賞与で埋め、やがて購入した高級時計や貴金属を売却して返済に充てる状態に陥っていた50代の会社員の方が、個人の破産手続(管財事件)で約1,350万円の債務を整理し、免責許可を得た事例です。

最大の論点は、免責が認められなくなる事情(免責不許可事由)にあたりうる浪費をどう申告し、破産管財人の調査にどう向き合うかでした。

申立てから約4か月半で免責許可決定が出て、ご相談から約8か月で手続が終了しました。

返済のために物を買っては売る状態から抜け出せずにいる方に、弁護士がどのように対応したかをご紹介します。

以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。

  • ✓ 毎月の返済をカードの借入れや賞与で埋める生活が何年も続いている

  • ✓ 購入した物を売って返済に充てたことがあり、免責されないのではと不安

  • ✓ 病気や転職で収入が減り、返済の見通しが立たなくなった

この記事で分かること

  • 依頼者:50代の会社員の男性

  • 相手方:13社の債権者(金融機関・カード会社など)

  • 争点の対象:約1,350万円の債務と、購入した時計・貴金属の売却、ローンが残る自動車

  • 最大の争点:浪費にあたりうる支出の申告と、破産管財人による調査への対応

  • 解決結果:破産手続開始決定(管財事件)を経て免責許可決定。約1,350万円の支払義務が免除

  • 解決期間:申立てから免責許可まで約4か月半(ご相談から約8か月)

  • 依頼前の状態:毎月の返済額が手取りの大半に達し、購入した時計を売って返済に回す状態。持病の悪化で長年勤めた会社を退職し、再就職後は収入が大きく減って支払不能に

  • 解決後の状態:免責許可決定により債務の支払義務が免除。再就職先で働きながら生活を立て直す段階

この記事を読むと、次の3点が分かります。

  • 浪費や物の売却といった事情がある場合に、免責の判断でどのような点が見られるか

  • ローンが残っている自動車が、破産手続の中でどう扱われるか

  • 管財事件で破産管財人からどのような調査を受け、どう対応するか

ご相談の背景

ご依頼者様は、長年勤めた会社で働いてきました。数年前、ご家庭の事情による毎月の支出に加え、自動車のローンと維持費の負担が重なり、毎月の収支は5万〜10万円ほどの赤字になりました。不足分はカードのキャッシングで埋め、年2回の賞与で穴埋めする生活が続きました。

やがて、購入した高級時計や貴金属を売却し、その代金を返済に充てるようになりました。月々の返済額は手取りの大半に達し、返すために買い、買ったものを売って返す、という状態から抜け出せなくなっていました。

そうした中で持病が悪化し、長年勤めた会社を退職せざるを得なくなりました。退職金を取り崩しながら返済を続け、数か月後に別の会社へ正社員として再就職しましたが、収入は以前より大きく減りました。再就職後の給与では返済を続けられず、ある月の引き落としを境に支払いが止まりました。

ご相談の時点では、すでに生活費の見通しが立たない差し迫った状況でした。この段階で当事務所にご相談いただきました。

返済のために買っては売る生活から抜け出せずにお困りの方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。

弁護士の対応と解決のポイント

① 浪費にあたりうる事情を隠さず申告する方針を決める

初回の面談で、負債の内訳、収入の推移、時計や貴金属の購入と売却の経緯を伺いました。購入した物を売却して返済に充てた行為や、飲食などへの支出の膨らみは、免責不許可事由(免責が認められなくなる事情)のうち「浪費」にあたる可能性があります。また、そうした事情の調査が必要になることや、ローンが残る自動車があることから、同時廃止(財産がないとして管財人を選任せずに終える手続)ではなく、管財人が選任される管財事件になる見込みでした。

その見通しをお伝えしたうえで、事情を隠さず申告し、管財人の調査に誠実に協力して免責を目指す方針を定め、数日後にご依頼いただきました。受任通知の発送により各社からの請求は止まり、ご依頼者様は生活費を確保して申立ての準備に集中できる状態になりました。

申立書類では、浪費にあたりうる支出を隠さず記載し、免責不許可事由が「ある」ことを自ら申告しました。あわせて、支出が生じた背景、再就職後の生活の状況、手続に誠実に協力する意思を、免責を認めるべき事情として記載しました。

② ローンが残る自動車は管財人に引き継ぐ

自動車には信販会社の所有権留保(ローン完済まで所有権が信販会社に残る仕組み)が付いていました。開始決定前の管財人面談で自動車の管理について指示を受け、ご依頼者様はそのとおりに対応しました。自動車は管財人の管理のもとで信販会社が引き揚げ、売却代金はローン残高に充てられました。管財人の指示に従って引揚げが進み、ご依頼者様は見通しを持って手続の進行を待つことができました。

③ 管財人の調査に一つずつ答え、免責許可へ

開始決定後、管財人からは、購入した時計・貴金属の所在と売却先・売却額について照会がありました。当事務所で売却の経緯を整理して回答し、管財人の調査に対応しました。事実関係を整理して提出したことで、ご依頼者様は一つずつ状況を説明できる状態で調査を迎えられました。

その後、債権者集会を経て、免責許可決定が出ました。裁判所は「破産管財人の調査の結果、その他本件に表れた全ての事情を総合すると、免責を許可するのが相当である」と判断しています。

免責の知らせを受けたご依頼者様からは、過去を冷静に振り返り、債権者に迷惑をかけたことを反省する機会になったこと、今後は身の丈に合った生活を心がけたいことを綴ったご連絡をいただきました。

解決の結果

  • 解決方法:個人の破産手続(管財事件)

  • 免責:免責許可決定。約1,350万円の債務の支払義務が免除

  • 自動車:管財人の管理のもとで信販会社が引揚げ・売却

  • 管財人の調査:時計・貴金属の売却経緯を回答

  • 期間:申立てから開始決定まで約2週間、免責許可まで約4か月半。ご相談から約8か月

ご依頼者様は、再就職先で働きながら、身の丈に合った生活を心がけて再出発しています。

担当弁護士からのコメント

「買った物を売って返済に充てていた」「飲食にお金を使いすぎた」。こうした事情を抱えた方は、自分は免責されないのではないか、正直に話したら不利になるのではないか、と不安を抱えてご相談にいらっしゃいます。ご依頼者様も、返すために買い、売って返す、という状態の中で、大きな不安を抱えておられました。

免責不許可事由にあたる事情があっても、裁判所が事情を総合して免責を認める場合があります。ただし、結果は事案ごとに異なります。大切なのは、隠さないことです。管財人は預金の入出金や物の売却先まで調べますから、申告していない事実が後から見つかると、かえって信頼を損ないます。本件では、浪費にあたりうる支出を申立書で自ら申告し、管財人からの照会にも経緯を整理して答えました。

ギャンブルを原因とする浪費で免責許可を得た事例は、こちらもご参照ください。

返済のために買っては売る生活から抜け出せずにいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

よくある質問

Q. 浪費や、買った物の転売があっても、自己破産で免責されますか?

A. 必ずとは言えませんが、免責される可能性はあります。浪費や、購入した物を不利な条件で処分する行為は免責不許可事由にあたることがありますが、裁判所は、支出の経緯、反省の状況、手続への協力の姿勢などを総合して、免責を認めるかどうかを判断します。本件では、浪費にあたりうる支出を自ら申告し、管財人の調査に協力して免責許可を得ました。隠さずに申告することが前提です。

Q. ローンが残っている自動車は、自己破産するとどうなりますか?

A. ローン完済まで信販会社に所有権が残る契約(所有権留保)の場合、自動車は信販会社に引き揚げられ、売却代金がローン残高に充てられるのが通常です。本件でも、管財人の管理のもとで信販会社が引き揚げ、売却代金がローン残高に充てられました。

Q. 自己破産を弁護士に依頼した場合、費用と期間の目安はどのくらいですか?

A. 費用は、同時廃止か管財事件か、債権者の数、財産の有無によって異なりますので、一概には申し上げられません。管財事件の場合は、弁護士費用とは別に裁判所に納める予納金が必要です。期間については、本件では申立てから免責許可まで約4か月半でした。初回相談でご事情を伺ったうえで、費用と見通しをご説明しています。

ご相談はこちらへ

毎月の返済を借入れや賞与で埋める生活が続いている方、浪費や物の売却があって免責されるか不安な方は、一度状況を整理してみませんか。

GK総合法律事務所は東京都杉並区南阿佐ケ谷にあり、自己破産の申立てを数多く手がけてまいりました。杉並区・中野区・練馬区をはじめ、東京都内全域からご相談をお受けしています。

お一人で悩まず、まずは当事務所の初回相談(30分無料)をご利用ください。

GK総合法律事務所へのご相談・お問い合わせはこちら

※本記事は実際の事例をもとに、ご依頼者様のプライバシーに配慮して内容を一部変更しています。事案の内容によって結果は異なり、同様の結果を保証するものではありません。

弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)