自己破産|法人破産から6年、残った代表者の保証債務約7,300万円を個人破産で整理し免責許可を得た事例
2026年10月15日 13:12
かつて経営していた会社が破産してから約6年、ご自身には会社の借入れの連帯保証債務が残ったままだったご依頼者様が、個人の破産手続で約7,300万円の債務を整理し、免責許可を得た事例です。
最大の論点は、法人破産のときに個人の破産を同時に行わず、別の方法での整理を目指して年月が経っていたことを、裁判所と破産管財人にどう説明するかでした。
申立てから約4か月半で免責許可決定が出て、ご相談から約8か月で手続が終了しました。
会社を畳んだ後も代表者個人の保証債務が残り、どう整理すればよいか分からない方に、弁護士がどのように対応したかをご紹介します。
以下に1つでも当てはまる方は、本事例が参考になるかもしれません。
✓ 会社は破産したが、代表者として連帯保証した借入れが自分に残っている
✓ 破産以外の方法での整理を考えたが進まなかった
✓ 今は別の会社で働いていて、過去の負債さえ整理できれば生活を立て直せる
この記事で分かること
依頼者:かつてIT系の会社を経営していた30代の男性。現在は別の会社の役員
相手方:十数社の債権者(金融機関・保証機関・カード会社など)
争点の対象:約6年前に破産した会社の連帯保証債務と、事業に関連する個人名義の借入れ
最大の争点:法人破産から個人の申立てまで約6年が空いた経緯の説明と、管財人による調査への対応
解決結果:破産手続開始決定(管財事件)を経て、免責不許可事由なしとして免責許可決定
解決期間:申立てから免責許可まで約4か月半(ご相談から約8か月)
依頼前の状態:会社の破産後も約7,300万円の保証債務が残り、返済のめどが立たないまま年月が経過。個人名義の資産はほぼない状態
解決後の状態:免責許可決定により債務の支払義務が免除され、現在の仕事と家族との生活を前提に再出発できる状態
この記事を読むと、次の3点が分かります。
法人破産のときに代表者が同時に破産しなかった場合、その後どうなるのか
年月が経ってからの個人破産で、裁判所と管財人に何を説明する必要があるのか
東京とは別の裁判所での管財事件に、東京の弁護士がどう対応するか
ご相談の背景
ご依頼者様は、かつてIT系の会社を経営していました。約6年前、ご事情により事業の継続が難しくなり、会社は破産手続をとりました。会社の借入れには、金融機関や信用保証協会に対する代表者個人の連帯保証が付いていたため、会社の破産が終わった後も、ご依頼者様個人には約7,300万円の債務が残りました。
当時は、個人の破産手続をすぐにはとらず、別の方法での整理を目指していましたが、めどが立たないまま年月だけが過ぎていきました。その間に生活は立て直し、別の会社の役員として働きながらご家族との暮らしを続けていましたが、個人名義の資産はほぼない状態でした。
ご相談の時点でのお気持ちは、個人の負債をきちんと整理して、生活を立て直したいというものでした。
この段階で当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
会社を畳んだ後の保証債務でお困りの経営者の方は、東京都杉並区・南阿佐ケ谷のGK総合法律事務所へお早めにご相談ください。
弁護士の対応と解決のポイント
① 個人破産で進める前提を整理し、受任通知で債権者への対応を引き取る
初回のご相談で、債務の内訳と現在の収入・資産を確認しました。債務の大半は会社の連帯保証と事業に関連する借入れで、返済の原資となる資産や収入の余裕はありませんでした。返済の見通しが立たない以上、ご本人の希望どおり個人の破産手続で免責を得ることが現実的であることを確認し、方針を個人破産に定めました。
その後、委任契約を結び、各債権者に受任通知を送りました。これにより、ご依頼者様は長く宙に浮いていた保証債務の問題に、ようやく道筋をつけられる状態になりました。
② 「6年の空白」を裁判所に説明し、管財人の調査に備える
申立先は、ご依頼者様の住民票のある地域を管轄する、東京とは別の裁判所でした。東京地裁とは運用が異なり、申立て直後に裁判官と面接する即日面接の制度はなく、管財人候補者・弁護士・ご本人の三者面談の後に開始決定が出る流れでした。
裁判所からは、法人破産から個人の申立てまでに約6年が空いている理由と、ご依頼者様が役員を務める複数の会社の実態について、資料をそろえて説明するよう求められました。当事務所では、法人破産から申立てまでの経緯を書面で説明し、関連する会社の資料を整えて提出しました。年月が空いていること自体は通常は不利に働くわけではありませんが、「なぜ今なのか」を裁判所と管財人が納得できる形で示すことが、手続を滞らせないために重要です。
これにより、ご依頼者様は管財人からの質問に一つひとつ答える負担を、弁護士が整えた書面に委ねることができました。
③ 出張とWeb会議を組み合わせて管財人に対応し、免責許可へ
管財人候補者との三者面談には弁護士が同行し、面談の後に破産手続開始決定が出ました。開始決定後、管財人からは申立てに至る経緯と、ご依頼者様の個人事業の実態について再度の面談の申入れがあり、こちらはWeb会議で対応しました。遠方の裁判所であっても、出張とWeb会議を組み合わせることで、ご本人の負担を抑えながら進めることができます。
管財人は、関連する会社の財産や、本来は債権者への配当に充てるべき財産が失われていないかを調査しましたが、問題となる事情は見つかりませんでした。債権者集会(財産状況報告集会)と免責審尋(裁判官が免責について本人に確認する手続)を経て、配当すべき財産がないとして破産手続は廃止され、同日に免責許可決定が出ました。免責不許可事由に該当する事実は認められない、というのが裁判所の判断です。
ご依頼者様は、約6年抱えてきた保証債務から解放され、現在の仕事と家族との生活を前提に再出発できるようになりました。
解決の結果
解決方法:個人の破産手続(管財事件)
免責:免責許可決定(免責不許可事由なし)。約7,300万円の債務の支払義務が免除
管財人の調査:関連する会社の財産と、財産の散逸の有無を調査。問題となる事情なし
期間:申立てから開始決定まで約1か月、免責許可まで約4か月半。ご相談から約8か月
対応方法:三者面談と集会は弁護士が出張して同行。管財人の再面談はWeb会議
ご依頼者様は、自分名義で生活を組み立て直す出発点に立ちました。
担当弁護士からのコメント
会社の破産を経験した経営者の方から、「会社は終わったけれど、自分の保証債務はそのままになっている」というご相談をいただくことがあります。会社の整理に全力を注いだ後、ご自身の問題にまで手が回らなかった方、別の方法で何とかしようと試みて時間が経ってしまった方。ご依頼者様も、約6年のあいだ、返済のめどが立たないまま生活を立て直すことに精一杯だったのだと思います。
約6年のあいだ、どこから手を付ければよいか分からないまま過ごされたお気持ちは、決して特別なものではありません。法人の破産と同時に代表者個人の破産も申し立てるのが一般的ですが、そうしなかったからといって、後から個人破産ができなくなるわけではありません。ただし、年月が空いた場合には、その間に何をしていたのか、資産を処分したり隠したりしていないかを、裁判所と管財人に丁寧に説明する必要があります。本件では、法人破産から申立てまでの経緯を正直に書面にし、関連する会社の資料も、裁判所の求めに応じて漏れなくそろえました。
もう一つは、裁判所ごとの運用の違いです。東京地裁の運用に慣れていても、別の裁判所では申立ての流れも面談の方法も異なります。本件では出張とWeb会議を組み合わせ、ご本人の負担を抑えながら手続を進めました。ご本人の負担を抑えるうえで、ここは大切な点でした。
会社を畳んだ後の保証債務をどうすればよいか分からずにいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問
Q. 会社が破産するとき、代表者も必ず同時に自己破産しなければなりませんか?
A. いいえ、必ずではありません。ただし、代表者が会社の借入れを連帯保証している場合、会社が破産しても保証債務は代表者個人に残ります。そのため、法人の破産と同時に代表者個人の破産を申し立てるのが一般的です。経営者保証に関するガイドラインを利用して、破産によらずに保証債務を整理する方法もありますが、一定の返済原資を用意して債権者の同意を得る必要があり、誰でも利用できるわけではありません。
Q. 法人の破産から何年も経ってからでも、代表者個人の自己破産はできますか?
A. はい、できます。ただし、裁判所と破産管財人からは、その間の収入や資産の変動、別の方法での整理を試みた経緯などについて説明を求められます。本件では、法人破産から約6年後に個人の申立てを行い、経緯を書面で説明したうえで免責許可を得ました。
Q. 代表者の個人破産を弁護士に依頼した場合、費用と期間の目安はどのくらいですか?
A. 費用は、債権者の数、関連する会社の有無、同時廃止か管財事件かによって異なりますので、一概には申し上げられません。管財事件の場合は、弁護士費用とは別に裁判所に納める予納金が必要になり、東京とは別の裁判所に申し立てる場合には、面談や集会への出張費用がかかることもあります。期間については、本件では申立てから免責許可まで約4か月半でした。初回相談でご事情を伺ったうえで、費用と見通しをご説明しています。
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会社を畳んだ後の保証債務が残っている経営者の方、破産以外の方法での整理を考えたものの進まずにいる方は、一度状況を整理してみませんか。法人の破産と代表者の破産を同時に進めた事例は、こちらの事例もご参照ください。
GK総合法律事務所は東京都杉並区南阿佐ケ谷にあり、法人破産と代表者の破産を数多く手がけてまいりました。杉並区・中野区・練馬区をはじめ、東京都内全域からご相談をお受けしています。
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※本記事は実際の事例をもとに、ご依頼者様のプライバシーに配慮して内容を一部変更しています。事案の内容によって結果は異なり、同様の結果を保証するものではありません。
弁護士 小澤亜季子(東京弁護士会所属)